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唯「ドラクエ!」 第二十三話

■第二十三話

-- 朝 旅人の宿屋102号室 リビング --

律「てな訳でー、今日は村長のとこに寄ってくんだけど、どする?」

 一同は朝食を取りながら、今日の予定を話し合っていた。

 こっちの世界に来てしまった後になっても、
 律は淡々と皆のまとめ役になってくれている。

 そんな律を半ば尊敬がちの眼差しで澪は見つめていた。

唯「んー、今日はエリちゃんのとこに寄っていきたいんだー」モグモグ

澪「昨日役場で話し合った事も、エリちゃんに話しておいた方がいいよな」

唯「うん、だから村長さんの所はりっちゃん達に任せるよー」モグモグ

律「オッケー、じゃあ澪とムギはあたしと一緒だな」

紬「あ!私は唯ちゃん達とエリちゃんの所にいきたいわ」

律「え?そなの?」

紬「うん・・・だって・・・私はまだエリちゃんに会ってないから」

梓「あ、そういえば、そうでしたね」

唯「ムギちゃんおいでーおいでー」

澪「じゃあ、村長の所はわたしと律で行くか」

律「おう、澪と久々のデートだなっ.....///」

澪「はいはい」

律「なんだー、ノリが悪いぞノリがー」プー

紬「そうよ澪ちゃん!ノリって大切だと思うわっ!」プー

澪「なんでムギが膨れてるんだよ・・・」

唯「あずにゃん?どうしたの?」

 唯の顔をぽーっと眺めていた梓を不思議そうに見つめ返す唯。

 見つめ返されている事にさえ気づかなかったのか、唯に言われてハッと気づく。

梓「えっ!?あ、いえ・・・」

 恥ずかしそうに、そっと顔を逸らす梓。

梓(最近、唯先輩の事が好きすぎてヤバイかも)

唯「?」

紬(なるほどなるほど)


-- 町役場 --

律「ごめんくださいっ!」

 ガチャ

村長「おぉ、お嬢さん達、丁度良いところに」

律「へ?」

 見渡せば、そこには大勢の人が集まっていた。

律「丁度いいって?」

村長「いやなに、昨日の事について話合っていたのじゃが」

村長「取引日までは少し時間があるのでじゃな、戦いに備えて訓練を行おうと考えていたのじゃ」

 少しの時間も有効に使うべきだろう、何せこの町の存続がかかっているのだから。

村長「そこで、お嬢さん達にこの町の兵を鍛えて貰えんじゃろうかと思うての」

律「鍛える!?あたしらが!?」

 周囲の人々は、座りながら律達の方に視線をやり、にウンウンと頷いていた。
 しかし、頷いた面子はどうみても、律や澪よりも力が劣っているとは思えない身体をしている。
 つまり、筋肉隆々の漢が、若い娘に教えを請う姿が可笑しかったのだ。

律「無理だろぉ・・・」

澪「村長さん、、、それよりも先に聞きたい事があるのですが」

村長「うむ、答えられる事は全て答えるじゃて、どのような疑問かの?」

澪「わたし達がなぜランクDを討伐した唯一のギルドになれたのか、知りたいんです」

村長「なぜかの?それはお嬢さん達がそのような器を持った人間だからではないか?」

 席に着いている漢達は、澪の質問の意図が分からなかった。

澪「それは、そうかもしれませんが、、、」

 自分達がなぜ強いのか?、このような質問は確かに可笑しく思えるのだろう。

澪「わたし達は今この場にいる人たちよりも、すごく若くて、それに女性です」

澪「それなのに、この中で一番強いだなんて、何か理由があるんじゃないかと思って、、、」

村長「ふむ、、、」

 村長はやや考えた仕草をし、何か模索しているようだった。

村長「何か事情がありそうじゃが、、、わしの見解を言わせて貰おうかの」

澪「あ、はい、お願いしますっ」

村長「まず、力の源となるマナの存在じゃが、それが大きく関わっているのではなかろうかのぉ」

律「ふむふむ」

村長「時に、マナを過分に取得する者が居るそうでの」

村長「お嬢さん達がその"特殊な者"であれば、この町の者達と力の差が出る理由ではないかなと、あくまで推測じゃがの」

澪「なるほど、、、」
(わたし達全員が、マナを過分に取得する者なのかな・・・)

律「そいじゃー、そゆっことでー」

律「あたしらが最強!って事でいいんだよね?」

村長「ほっほっほ、その通りじゃよお嬢さん達」

澪(特殊な者、かぁ・・・)

村長「次はわしの話を聞いてくれるかの、というのも先ほどの件じゃが」

 周囲の人々が、期待の視線を浴びせる。

律「いや、だから・・・ははは・・・」

澪「律・・・、断れるのかこれ・・・」ヒソヒソ

村長「気負いせんでいいんじゃよ、少し見てくれるだけでいいんじゃ」

律「うぅ・・・、わ、わーったよぉ」

澪「律!?」

律「だってー、しゃーないだろー、こんなに期待されちゃあ」

村長「苦労かけるのぉ、お若いの」

律「じゃあ、明日からびっしびし鍛えるからなー!覚悟しとけよー!」

澪(だ、大丈夫かな・・・)


-- エリンの部屋 --

 3人は小さな部屋で、小さなテーブルに紅茶が入った小さなティーカップを置いてティータイムをしていた。

エリン「そ、そんなことが・・・」

 そう言ったエリンの目は少し潤んでいた。

唯「そうなんだよぉ!だからこの町の人達でライラックを追い出そうって!」

梓「・・・」

エリン「私・・・あんなに酷い事をしたのに・・・」グス

唯「大丈夫、エリちゃんは悪くないから!だから皆も助けてくれるんだよ!」フンス

 一瞬沈黙となったが、梓の一言が打ち破った。

梓「それで・・・」

エリン「え?・・・」

梓「それで、エリちゃんはどうするんですか?」

エリン「私・・・」

唯「あずにゃん?」

梓「エリちゃんは、この町の人達が戦っているのを、見てるだけなんですか?」

エリン「私・・・」

唯「そんなっ、あずにゃん、急にどうしたのさ!?」

 エリンの事は好きだ、でも、言うべきだと思ったから、言わないといけないと思う梓だった。

エリン「ううん、唯ちゃん・・・あずにゃんの言うとおりだわ」

 落ち着いた面持ちで梓に向き直るエリン。

エリン「私も、出来る限り戦う。少しでも役に立てるよう、頑張るわ!」

唯「エリちゃん・・・」

梓「ごめんねエリちゃん・・・、でも、それがわたしは正しいと思う」

エリン「ううん、梓ちゃんありがとう」

 ニッコリと笑顔のエリン。

エリン「私、ここで何もしなければ、罪人で終わってたかも」

エリン「これで、やっと私の足で踏み出せる気がする・・・」

唯「エリちゃんっ」ギュウ

 たまらず抱きつく唯。

エリン「唯ちゃん・・・」
(あったかいなぁ、唯ちゃん)

梓(あー、思わぬ展開に・・・)ガックシ

唯「あ、そうだ!」

エリン「ん?」

唯「・・・」

唯「あ、いや、な、なんでもない~~♪」ヒュヒュウ

 出来もしない口笛をしてごまかそうとする唯。

エリン「唯ちゃんっ」グイ

 顔を両手で鷲づかみ、目の前に引き寄せるエリン。

エリン「何かごまかしてるわね~~?」ジー

唯「うっ・・・」

梓(あっ、近いって・・・)

唯「で、デヘヘ」テヘ

唯「・・・」

唯「実は・・・マーサさんの事なんだけど・・・」

エリン「あっ・・・マーサさん・・・」

 思い出した表情をしたかと思うと、次に暗い表情になるエリン。

梓「マーサさん、家族を失ったって・・・」

エリン「そう・・・、あの時から、マーサさん人が変わってしまったわ・・・」

梓「それと、マーサさん、ライラックの取引役を受けてたみたい・・・」

エリン「そうなんだ・・・それは、知らなかった・・・」

唯「エリちゃん、あずにゃん」

エリン「うん?」

梓「はいっ?」

唯「絶対に、ライラックを倒そう。そして、ハッピーエンドだよ!」フンス

梓「そうですね・・・、やってやるです!」

エリン「うん・・・、必ず、倒してみせるわ!」

唯「うんっ!」


-- 夜 旅人の宿屋 102号室 --

律「てわけだからー」

梓「えぇ~~!?わたし達が訓練の教官!?無理ですよ!?」

澪「まぁ、わたしもそう思う・・・」

律「しょーがねっだろー!引き受けちゃったんだからー!」

紬「まぁまぁ」

唯「やろうよ」

 ギー太をいじりながら、唯がつぶやく。

唯「出来るだけの事を、全部やろうよ」

梓「先輩・・・」

 さすが先輩だなと感心する梓。
 いつもふざけているのに、こういった時は誰よりもぶれない心を持っている。

梓「そうですね、唯先輩の言うとおりですね・・・」

澪「そうだな・・・、うん、わたしも頑張るよ」

唯「テヘヘ、ありがとう皆」

律「まったくー、唯はエリちゃんの事になると強気になるよなー」

紬(来たわね、ワクワクするわ)

梓「ゆ、唯先輩は・・・どうしてエリちゃんの事になると・・・、強気になるんですかっ?」

梓(うわ、なんか変な事聞いちゃったー)

唯「うぇ?エリちゃんの事?・・・、うーん」

紬「好き、なんじゃないのかしら?」

唯「え!?うん、それはー、好きだよ?エリちゃんのこと」

梓(えええぇ、でも、たぶん今の好きは、あの好きじゃないなぁ)

唯「でも、わたしが一番好きなのはー」ジー

梓(先輩・・・み、見つめられてる......////)

紬(まさか、、、告は)

唯「ギー太だよぉ、よしよしよし」スリスリ

 ダンッ!

 思わず地団駄を踏む紬。

澪「ひっ」

紬「あ、ごめんなさいおほほほ」

律(ムギもだんだん分かり易くなってきたなー)

律「さてと、つーことだから、解散っ!寝るぞー!」

澪(明日からまた特訓か・・・)

 取引日まであと数日しかない。
 その間に出来る限りの事を尽くさねば、どうなるんだろう、、、
 もしも、、、いや、、、それを考えるのは永遠によそう、そう思って寝床に着く澪であった。

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No title

再開うれしいです。
面白いのでどんどん続けていって下さい

No title

続きが見たいです

No title

続き書いて欲しいです

No title

最近このssを読み始めたんですけど、次のUpはいつごろですか?

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No title

ここまで一気に読みましたよ。
これからも続いてほしいです

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良かったら、また続けてください。

徹夜で拝見しました

とっても面白かったです!
久しぶりに小説読んで泣いたり笑ったりできました(/_;)
更新日からすると、もう書かれていないのが残念です。
きっと結末は悲しい事もあったけど唯たちがハッピーエンドをむかえたのだろうとそう信じています...本当に心躍るストーリーでしたありがとう御座いました(^^)/

No title

久々にふとなぜかこのブログを思い出しまして
ちょろっと広告とか消したりご指摘いただいていた誤記を修正したりしてみました
なんとか完成させたいなぁと以前は思っておりましたが、そこまでのパワーが自分になさそうなのが残念、、
誰もみていないとは思いますが、出来たら続きを書いてみたいなぁと思ってはおります、、
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唯「ドラクエ!」シリーズ更新中!!

第一話スタートはコチラから
唯「ドラクエ!」第一話

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